1

9/15
853人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
案の定…… 「悪くない」 うんうんと頷く芹沢の父に、 「さすがは奈央ちゃんだね」 と、褒め称える水野の父。 うちの親父に至っては…… 「いやいや、さすがは奈央さんだ! うちの敬介より、よっぽど柔軟な発想をもっておられる。こんなしっかりした女性がサポートしてくれるなら、今後こんな息子に跡を譲っても安心だ! いや、いっそ奈央さんに跡を継いでもらった方が良いか。どっちにしても、これで沢谷家は安泰だ!」 ────本気で殺意を覚えた。 唯一、申し訳なさげに頭を下げてくれたのは奈央の母親で。 だからと言って、奈央の発案をひっくり返すだけの効力には至らない。 親父達が奈央の意見に賛同するんじゃ、俺がどんなに騒ごうとも、この場所では反対意見など通りそうにない。 ならばと、マンションに帰ってから、2人きりになったところで奈央の説得を試みた訳だが……。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!