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ヤンキー連中に対峙しようと翔と剣悟が前に出る。
相手は手にあらゆる得物を持っているが、こちらは完全な丸腰なうえに杏里達が後ろにいる。
端からみれば、翔達が不利なのは明らかである。
「ほう、相手になるのは二人だけか?俺達も嘗められたもんだな」
「はっ、分の悪い勝負ほど俺はやりたくなる性分なんだよね」
「…それは俺も含めてるのか、翔?」
「当たり前。ざっと数えて30人、何とかなるって」
一触即発の空気が漂うなか、翔と剣悟は走り出した。
さっそく、相手も駆け出して翔達は攻撃を加え始める。
翔に向かって行った第一陣は、いきなり身体を沈ませた翔の足払いの一撃でなぎ倒されてしまった。
続けてきた集団も剣悟が着実に片付けていく。
「物覚えが悪いんだよ、ったく」
「同感だな…」
「調子に乗りやがって、こうなったら奥の手を使うしかない」
そう言ってヤンキーのリーダー格は背後に目配せすると、他とは明らかに違う影が立ち上がり、動き出した。
その影はゆっくりと翔達に向かって行くが、相手を成敗することに夢中になってる翔は全く気づかない。
「翔、危ない!?」
「……っ!マジかよ」
美菜が思わず叫び、それに気づいた翔は慌てて飛び退き、何とか難を逃れることに成功した。
同時に梨乃が指している方向に振り返ると、そこにはさっきまでとは格が違いそうな屈強な男が立っていた。
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