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「あー、さみぃ…。これで3月ってのは未だ納得できねぇな」
「そいつは同感だけど、時間も重要だぜ、甲兵」
朝の東京テレポート駅で友人を見かけた翔は寒さに震えながら学校への道を歩いていたサーファー風よろしく金髪に染めた少年――舘華甲兵の肩を叩き、あっという間に通過していった。
「スケボーって…、そういうのズルいって思わないのかよ」
「急いでたんだからしょーがないだろ」
「理由になってないって」
二人が文句と反論を言い合っているうちに、今まで通ってきた道の建物に対し比較的新しい建物が見えてきた。
そこは二人の目的地である都立港高校である。また、二人はそこの生徒でもあった。
「ちーす、ギリギリだったな」
「本当にギリギリでしたね。翔が遅れかけるのも珍しいですしね」
「春眠暁を覚えず、ってか?今日が練習じゃなかったら、もう少し寝てるつもりだったけど」
「だろうな…」
翔と甲兵がバスケ部の部室に入ると、先に来ていた友人――李信宏と戸羽剣悟の二人が出迎えた。
「それにしても、俺達が頑張りゃあかなり雰囲気を変えられるもんだな」
「同感です、去年僕達が入部したときは本気で閉口しましたからね」
「ま、他の部活と色々物々交換したおかげでまともな部室になったな」
甲兵が指摘するように、港高校バスケ部の部室は今でこそ戦略に関する本やバスケ関係の雑誌で埋まった本棚とロッカー、そして作戦会議用ホワイトボードが主役になっている。
ところが、翔達が入ったときには、本当に運動部の部室なのか?と疑問符が付くぐらいの部屋だったのだが、去年翔達が筆頭に立ちリフォーム番組並みに大改造をやってのけたのだった。
しかし、問題はそれだけではなかった。
「いやぁ、今日も買ったねぇ」
「こういうのは、味わって食べないとね」
「Oh gee…」
「…先輩の意識は相変わらずだな」
翔達によって部室の大改造を終え、ユルくなってしまった空気を変えようと努力したが、結局変わらないのだった。
「さて、俺らはとっとと練習行くかぁ」
「…賛成だな」
甲兵の意見に賛同した翔達は練習に向かっていった。
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