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練習を切り上げ、信宏が紹介したハンバーガー屋に翔達は入った。
店内は"ワイルド・バーガー"の店名のとおりちょっとした西部劇の酒場を思わせる雰囲気であったが、時間を外していたのかあまり客がいないようだった。
「あんまし混んでないんだな」
「開店してからそれなりに時間は経ってるから落ち着いてきてるんですよ、多分」
「にしたって、少なすぎないか?」
「まあいいじゃん、俺らには関係ないんだし。さて、俺は何にしようかなっと」
「オーソドックスなのにするか…」
メニューの写真を見ただけで、食欲をそそらせながら甲兵達がメニューを決めていると、突然翔が衝撃の発言をした。
「4段ギガント・バーガーのXLセットで飲み物はコーラ」
「し、翔!?そんなの何処にあったんだ!?」
「はっ!?そこのポスターにしっかりと書いてあったぜ」
翔に言われたとおり、ポスターを見た甲兵達はその内容に本気でビビってしまった。
「『4段ギガント・バーガーのXLセットを10分以内に完食した方は1カ月無料パスポート贈呈』って、マジでやるのかよ…」
「当然っ!!」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だって、俺は今日朝からほとんど食ってないんだ。空きはいくらでもある」
「…そこまで言うんなら、信用するぞ。ただし、俺達を巻き込むなよ」
「だから、大丈夫だって。あ、そう言えばあのキャンペーンまだやってんだよね」
「ええ、まぁ…」
念を押すつもりで翔はバイトの店員に先程のポスターの内容についての確認をすると、何故かその店員は表情を曇らせて対応したが、すぐに職務に戻っていった。
そして、それから数分もしないうちに翔達注文したものが出てきた。
「おし、気合入れて食うかぁ!!」
「時間は自己申告ですので、終わったら後で言ってください」
「ってことだ。甲兵、タイムよろしく」
「任せろ」
意気揚々とテーブルに翔と甲兵が向かっていくなか、剣悟だけは何かの違和感を感じていた。
(妙だな、さっき翔が念押ししたときの店員の対応…)
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