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「マジで半端じゃないな、お前の食うスピードは…」
「言った筈だぜ?俺は空きがありまくりだって」
「逆に俺は食欲がペースダウンしてきてる」
甲兵の言う通り、一心不乱に特大セットを食べ続ける翔の様子は他の三人の食べるペースを下げる一因になっていた。
翔の様子を見るのに飽きた剣悟がふと視線をそらすと、数人のヤンキーの集団が店に入ってくる様子が目に入った。
その連中も、剣悟の視線に気づいたのか、四人がいるテーブルに近寄ってきた。
「おい、その制服は港高校だろ」
「…そうだが、何の用だ?」
「ここはな、お前らのような弱虫の来るところじゃないんだ。だからとっととその席を俺達に譲ってもらおうか?」
どうやら、この連中この店に慣れているようだった。
それに、店員の怯えた様子がさっきよりさらに増している。
それに、開店してから結構な時間が経っているはずの店内はあまり客がいない。
そこから考えられることは……
剣悟が一つの答えにたどり着いたとき……
「着ている服や様子で判断して弱そうなら絡む。どこのヤンキーも変わらないな」
「何だとっ!」
「近ぇな、俺はそっち系の趣味はないぜ?」
「こいつ、言わせておけば」
いつのまにか、最後のコーラを残して他のを食べ終わっていた翔が翔達に絡んできたヤンキーに対し皮肉を言い出した。
「どうせ、あんたらが幅利かせてるからこの店にあまり客が来なくなった、そうだろ?」
まさに、その言葉をうけたのか店員が頷いていた。
同時に、目の前のヤンキーの一人の額にも汗が浮かんでいた。
「翔、連中やはり図星らしいな…」
「ああ、俺も同感だな」
「あー俺、やな予感してきた。とりあえず、一抜けた」
「もう遅いですよ、覚悟決めましょう」
「マジで!?」
「貴様らぁ、やっちまえ!!」
相手が翔に殴りかかってきた瞬間、いつの間に飲み終わっていたコーラの紙コップを翔は投げつける。
それが、翔達の戦いの始まりの合図になった。
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