地獄編

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聞き覚えのある声だった。アケミの声だ。 アケミは、中学校時代のクラスメートで、席が隣通しだったこと、お互いに趣味が他人のドミノをわざと倒すこと、お互い背毛フェチだったこともあり、結構仲良し子よししていた。 しかし、アケミは中三の時、盗んだバイクで走り出した後、交通事故にあった… …訳ではなく、それを見たアケミが驚いて、心臓麻痺で死亡した。 僕は今でも、アケミはキラによって殺されたんだ、と考えている。 そのアケミの声がしたんだから、そっちに顔を向いてしまった。 見ると、体の肉が所々なく、血まみれで骨剥き出しの何かがいた。 「来夫くん、久しぶりだね♪」 「…うん、久しぶり…」 僕は適当に相づちを打ちながら、例のアレの体内がスッカスカなのを見ていた。 なる程、体がスッカスカだから、アケミ(空身)って名前なんだな。 …じゃねえだろおおお!? 何だコレは!?化け物か!?化け物なのか!? 「私、イメチェンしてみたの、どう?」 どうもこうもねえよ!?イメチェンの領域越えちゃってんだろ!?神の領域達してるから!? 「…なんか恥ずかしいな…顔赤くなっちゃう…」 いや、もう血塗りで真っ赤っかだからね!? 「…あっ、ゴメン!1人で変なこと喋っちゃって…」 変なのはアンタだよ!!ホントにどうしちゃったんだよ!? …とか口に出来たら楽なんだが、もし言ったら何されるか分からないし… 「…あっ、もうこんな時間!じゃあね、来夫くん!」 「…ああ…」 アケミは走りながら去っていった。ただ、中学と違う所は、揺らしているのは胸じゃなくて、体の肉片だった。 僕の初恋は完全に消滅した。
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