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俺達の場合、その努力はしたものの結果として俺がその責任を果たせなくなっていった。
それにつれてサトミがその責任を放棄してしまったのだが
こうなる前に、俺もそのリスクを考えるべきだったと思う。
俺達が付き合い始めた頃
サトミが俺にした質問がある。
「もし、湖の上で私と別な女の人が溺れていて
コウジ君がどちらかしか助ける事ができなかったとしたなら
どっちを助ける?」
という話しだったが俺は
「俺が死んだとしても、両方を助ける。」
と答えた。
サトミは
「なんで?」
と驚いていたが、俺は
「自分達だけ助かっても幸せにはなれないだろう」
と答えた。
その時は、サトミに同じ質問をしなかったが
今ならサトミの答えが解る。
人がどうなろうと自分の幸せを追い続けるサトミの生き方は
さしずめ
(その時に、必要な男だけを助ける)
だろう。
俺には、嫌悪感を覚えるような価値観だが
本来、生き物とはそうやって
厳しい弱肉強食の世界を生き抜いてきたのだ。
それが強い生き方とは知りつつも、俺にはそんな生き方は出来そうなもかった。
それが俺の弱さだと思う。
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