【新たな一歩】

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出店のスケジュールも大きく 変わった。 以前の様に週末に出張に出る訳にもいかない。 通える範囲の店を見つけてもらった。 働き出して1日目から 新しい出店先だった。 現場に着くなり店を開店させる前から女子高生が集まってくる。 (ここは売れるのかな?) と思ったが、目当ては焼鳥じゃなく俺に興味をもっただけみたいだ。 山あいの小さな町のスーパーに若い焼き鳥屋が来たもんだから目立ったのだろう。 「番号を教えて」 などとしつこくせがまれた。 学生には興味もなかったし 彼女達も、友達になりたいだけだろう。 俺が番号を書いた紙を、一人に渡すと 「○○ちゃんだけずるい~」 と大騒ぎだ。 その無邪気な姿に (かわいいな) とは思うが下心はない。 でも、プライドをズタズタに されたばかりで傷心中の俺には それでもなんだか嬉しかった。 所長が 「仕事よりまず女を見つけろ」 と言っていたけど (案外、すぐに見つかるかも) と楽観してしまうほど いいスタートだ。 ただ売上はいまいちだった。 俺が女の子に浮かれていたせいではないが…。
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