14458人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
『ぼくには、どうしても為さなくちゃいけない復讐があるんだ』
耳元で囁かれる。熱をもったその声は、確かに狂気を内包していて……。
『それに、君は知ってるよね？ぼくが《ナニ》で、彼奴が《誰》かを。そして、彼奴が《何》をしたかも、ね？』
狂気の矛先が俺に向けられたのが分かる。少し歪んだ言葉尻に微かな恐怖を感じた。
「あ……それ、は……」
『……くすっ。冗談だよ、君には一切危害を加えるつもりはないよ。だって、君はぼくの大事な《依代》なんだからね』
すぐさま狂気をしまいこみ、そして、影は更に強く俺を抱き締めた。
次の瞬間。
―――――どろり。
人の形をしていた影がその形を崩し、俺の身体に纏わりついた。
「……あ……いや、だ……嫌だ！やめろっ！」
流石に放心状態から回復し、必死に体を動かして影から逃れようと足掻く。
最初のコメントを投稿しよう！