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ぽたぽたっ、という音と共に辺りの空気は湿り気を帯びていくようだ。
湿り気を帯びた空気が身体に纏わりつき、少しずつ、しかし確実に衣服を湿らせ、動きを規制していく。
次第に湿り気は気管を通り体内に侵入し、内側からもじわじわと身体を犯して……。
俺から生まれた涙は、確実に俺を拘束していく。
……こんなにも惨めなものはない。
俺は縮込まり、身体を震わせて泣き続けた。
泣き張らした目で夜空を見上げると、月はあからさまに居場所を変えていた。
縮こませ、長時間そのままの体勢でいたせいかすっかり強張ってしまっている身体をゆっくりと伸ばし、縁側に仰向けに転がる。
腹内の筋肉が多少引き攣るようにして痛んだが、気にせずにそのまま身体を伸ばしていけば、少しずつ痛みは和らいでいった。
……もう、いいか。
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