14455人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
俺は、暗い闇の中にいた。
闇は不思議と穏やかで、俺は微睡むように明瞭としない意識のままゆらゆらと漂っていた。それだけで、酷く充足感に満たされる。
『起きて』
不意に、覚醒を促される。
急速に覚醒する頭に嫌悪を感じて、目を固く瞑ったまま首を横に振る。
「嫌だ。見たく、ない」
自然と口をついた言葉に、疑問を持つ。俺は何を見たくないのだろうか?
『……見ないと、後悔するよ?』
疑問を持ったところで暗い、闇よりも暗い声で言われ、激しい焦燥に駈られた。
耐えきれず、そうっと瞼を開く。触れ合っていた皮膚の離れる感覚と共に、徐々に視界が広がる。
そして、
「なっ!?なんだ、これは……っ!?」
目の前の光景に、俺は驚愕の声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!