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背筋を凍らすモノを感じながらも、ぐっとそれを抑え込み、皆の攻撃に翻弄されるままになる。
―――――ユウヤのチカラに飲まれた時のように取り乱しはしない。今度こそ、覚悟を貫き通す。
己に言い聞かせるようにして呟き、そして。
「き、サマらあぁぁぁぁ!!!!」
俺は、咆哮を上げた。隙が出来るが、同時に衝撃波を出して皆を吹き飛ばす。
―――――ただ一人だけ、吹き飛ばされないことを祈って。
そして、俺の祈りは通じた。
「……これで、終わりだ」
かろうじて踏み止まった朔夜が、俺の耳元で囁いた。
即ち、戦いでは致命的な位地―――――懐に入られたのだ。
次の瞬間。朔夜の魔武器である黒刀が、俺の胸を貫いていた。
急激に身体から力が抜けて、俺は床へと倒れ込んだ。
「が、は……ぁ!」
穴の開いた心臓の鼓動に合わせ、刃と傷との隙間から血が吹き出る。
血が流れるに合わせ、手足から順に感覚がなくなっていく。
―――――まったく。
主人公とは最悪なものだな……。
口から胸から血を流し、苦笑しながら俺は何とか仰向けになる。
最期は、皆の顔を見て終わりたかった。
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