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「祐也、おはよう」
いつものように走り込みをした後に素振りをしていれば、ふいに後ろから掛けられた声。
最近までは考えられなかった事に未だ戸惑いつつ、悟られぬようゆっくりと後ろを振り向く。
そして、
「……ああ、おはよう朔夜」
言葉を返しただけで、金に近い茶の毛色の少年は己の髪と同じく光輝く笑みを見せた。
何故そのように笑えるのだろうか?
俺には、それが不思議でならない。
何故辛く厳しい鍛練中に笑えるのだろうか。普通なら、辛い事をしている時には笑えないだろう。現に俺も笑う気になどなれない。
ん?普通なら……そうか。
朔夜は……
「変態か」
「え、変態!?ど、どこにいるんだ?というか急になんだよ!?」
目の前で慌てる朔夜。間違いない、こいつは俺に自分の本質を当てられ動揺しているに違いない。
きっと朔夜は、苦しみや痛みを快感に変える……えっと、何だったかな……
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