14457人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
名前が思い出せずに、顎に手を添えて考える。
頭文字がMだから、ま、まぞ……?
あ、そうだ。
「マゾヒストか」
思い出し、ぽんっと手を叩く。すると、朔夜は俺を形容しがたい目で見つめ……
「祐也……大丈夫か?」
優しく、しかし確かに正気を疑われた。
思わず顔を背け、朔夜のその視線から逃れる。
く、何故だ……っ!別に俺は恥ずかしいこともおかしいこともしていないはずなのに……!
「……ふ」
と、そこで不意に笑い声が聞こえてきた。
不思議に思い声の方を見れば、そこには……
「はは、やっぱり祐也って面白いよなっ!」
腹を抱え、声に出して笑う朔夜がいた。
顔赤いよ、と俺に言いながらも尚笑い続ける朔夜は実に楽しそうだ。
……一体、何が楽しいのだろうか?
このように、朔夜の傍にいると疑問が尽きない。
そして、それに対して悪い気がしないのがまた不思議だ。
最初のコメントを投稿しよう!