俺を取り巻いていた環境

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痛い。 喉が、肺が、足が、痛くてたまらない。 膝に当てていた手を離し、少しずつ走り込みのコースから離れた場所にある道場へ向かって歩く。 エネルギーが搾り取られた後の身体は重く骨が軋み、乳酸の溜まった足が気怠さを増長させており、一歩歩くごとに凄まじい負担が掛かるのが分かる。 「はぁっ……はぁ……っ」 空気を求めて喘ぐ口を閉じようと必死に息を整えるが、息苦しさは一切変わらず。 結局俺は情けなく震える膝に気を揉みつつ、ゆっくりと地面に腰を下ろした。 「ぐ、げほっ……はぁっ」 軽く咳き込めば、走り終わった後特有の血の味が口の中に広がる。気持ち悪い…… 「さて……」 不味い血の味に不快感を覚えつつ、ゆっくりと整理運動を開始する。 緩やかな大きな動きで、ゆっくりと筋や関節を解していく。 「……ふぅ」 吐息に乗り、小さく声が漏れる。 二十から三十秒程度、ゆっくり痛いと感じない程度に適度に伸ばし続けるとストレッチングをしている部位の筋が伸びている感覚がし、疲弊した身体にはそれが心地好い。 ふぅ……疲れたな。
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