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彼女が初めて自身で買い、贈ってくれたものだと知ったとき、黎深はまるで生娘のように頬を染めたものだ。
吏部で働く者が見れば一晩はたやすく寝込むような貴重さである。
「……あれに黎悧は百年どころか数えられない年早いであろうが……今はこれしか打つ手が無い……」
目を閉じて最愛の姪と養い子を想う。どうにも眉間にしわがよるのがわかるが、おさえる気はなかった。彼女の姉では、少し違う気がするのだ。幼く愛らしいが、少しばかりひねた養い子にはどうにもしっくりこない。年にあまる落ち着きと時折見せる名前に負けぬ才をもつ末姫のほうが、何故か合いの二人に見えてならない。そこまで考えて黎深は緩くいきを吐いた。自身で考えることはここまでだ。何より目に入れても痛くない姪の隣に立つもののことなど考えていても不愉快にしかならない。成るように成る。そう思えば明日からの日々は彼にとって楽園にでもいるかのように思えるだろう。
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