昔話

2/7

1366人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
10年前のあの日、寝ていた俺を起こしたのはノアークス家筆頭執事だった 執事は俺を起こすとギルド"白の翼"に連れていくと言った 何故ギルドに行くのかわからない俺は不安になる ギルドに行く理由は執事が行く途中に話してくれた 「今夜のパーティーでカイト様の存在をよく思わないものが多く出てきてしまいました。先ほどまで会場にいて、後片付けをしていたのですが…よくないお話を聞いてしまい、慌てて屋敷に帰ってきたのでございます。旦那様には後ほどカイト様はギルドの知り合いにあずけたいと言っておきます。落ち着いた頃におむかえに参ります。それまでお待ちください」 俺はまだ5歳だったから深く考えず納得し小さく頷いた 頷くと執事は泣き笑いのような表情をうかべて立ち止まった どうやらギルド"白の翼"についたらい ギルドの入口には赤い髪の男性が立っていた 「おぅ、ロンド!そいつかぁ、お坊ちゃんは?」 「えぇ、この方が私たちの大切なカイト様です」 ロンドと言うのは執事の名前だ 呼び捨てということは仲は良いのだろう… そんなことを思っていると、赤髪の男に顔を覗き込まれる 「俺はジンって言うんだ!よろしくなカイト!」 人懐こい笑顔でそう言われて少しだけ不安が和らぐ 『お世話になります』といって俺は頭を下げた 「ではカイト様を頼むぞジン!」 「まかせとけって!」 「カイト様、待っていてくださいね。必ずおむかえに参ります!」 『うん!』 そんな会話をしてから、ロンド(執事)はギルドを離れていく これが、俺がロンドの姿を見た最後だった
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1366人が本棚に入れています
本棚に追加