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え!?え!?今、彰弥くん何て言った?
「今、何て言ったかもう一度聞いてもいい?」
「え?ですから、汗かいたでしょうからお身体拭いて差し上げますって言いました」
聞き間違いじゃなかった!
頭がボーっとしてたから自分の都合の良いように解釈してしまっただけかと思ってた!っていうか、都合良くないし!駄目だよ、それは!いかん!
「い、いや…遠慮させてもらうよ」
まだそんな関係にもなってないのに、一気に大人の階段なんてのぼれないよ!
「……蓮華の力に少しでもなれたらと…」
彰弥くんの子犬の目攻撃!
そんな可愛い目で見たって効かないんだからな!私は動じないんだからな!
「いいよ。そんなことさせたくないから。私は近くに彰弥くんが居てくれたら、それでいいから」
お布団の中から彰弥くんに手を差し出すと、彰弥くんは悲しそうな…いや、つまんなそうな顔をして握り返してくれた。
「…分かりました。俺も手を握るだけで我慢します」
ふぅ…と小さく溜め息を吐いた彰弥くん。やめてくれたんだ、良かった。
「ありがとう…」
彰弥くんの手をギュッと強く握ると、彰弥くんも柔らかく微笑み返してくれた。
あぁ…この時が一番幸せかも。彰弥くんの傍でゆっくり出来る。
呑気に寝ていられる。
だんだん心地よくなってきて、私はゆっくりと目蓋を閉じた。
瞳の奥に彰弥くんの笑った顔が浮かぶ。
幸せだー…。
ずっと一緒だよ。
別れようって言われたって絶対別れないから。
離さないから。
彰弥くんも私から離れたりしないでね。離れたら駄目だからね。
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