*+。それを頼りに。+*

20/29
前へ
/430ページ
次へ
「……俺、もう帰るわ。今日は悪かったな」 ふと、侑弥くんが立ち上がり言う。 「う、うん…。今日はありがとう」 何だろ…、こんな感じでバイバイするって、すごい気まずい…。 侑弥くんも確かに悪いことはしたと思うけど、彼は彼なりに苦しかったんだもん。 みんな、おあいこだと思う。 なんか…このまま終わるの嫌だな。 私が下を向いている間に、侑弥くんはドアの方に向かっているのが分かる。 もう帰っちゃう…! 「ゆ、侑弥くん…!!」 「な、なんだ!?」 私が急に大きな声で呼び止めたからか、侑弥くんはビックリしながら返事をする。 「あ、あの…私が退院したら、一緒に…前メールで言ってたお店…その……っ行こうね!」 「…うん、行こうな」 侑弥くんは一瞬ポカーンとした表情をしたけど、優しく笑ってくれた。 そして、侑弥くんはドアを開け、帰って行ってしまった。 「い、言えたぁ!」 顔に熱が集まるのを感じた。 でも…ちゃんと侑弥くんに言えたぁ。 一緒にご飯食べに行く約束できた…! 私、結構成長したよね! 前なんか、約束も出来なかったもん! 嬉しいなぁ。 ニマァッと顔がとろけるくらいに、ニヤケてしまう。 枕にボスンと、顔を押し付けた。 これで、次会う時は気まずくないよね。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加