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「……俺、もう帰るわ。今日は悪かったな」
ふと、侑弥くんが立ち上がり言う。
「う、うん…。今日はありがとう」
何だろ…、こんな感じでバイバイするって、すごい気まずい…。
侑弥くんも確かに悪いことはしたと思うけど、彼は彼なりに苦しかったんだもん。
みんな、おあいこだと思う。
なんか…このまま終わるの嫌だな。
私が下を向いている間に、侑弥くんはドアの方に向かっているのが分かる。
もう帰っちゃう…!
「ゆ、侑弥くん…!!」
「な、なんだ!?」
私が急に大きな声で呼び止めたからか、侑弥くんはビックリしながら返事をする。
「あ、あの…私が退院したら、一緒に…前メールで言ってたお店…その……っ行こうね!」
「…うん、行こうな」
侑弥くんは一瞬ポカーンとした表情をしたけど、優しく笑ってくれた。
そして、侑弥くんはドアを開け、帰って行ってしまった。
「い、言えたぁ!」
顔に熱が集まるのを感じた。
でも…ちゃんと侑弥くんに言えたぁ。
一緒にご飯食べに行く約束できた…!
私、結構成長したよね!
前なんか、約束も出来なかったもん!
嬉しいなぁ。
ニマァッと顔がとろけるくらいに、ニヤケてしまう。
枕にボスンと、顔を押し付けた。
これで、次会う時は気まずくないよね。
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