*+。それを頼りに。+*

25/29
前へ
/430ページ
次へ
「無意識のうちに私がみんなに言い回っていた可能性があるかもしれません!」 「…は?お前、頭の打ちどころ悪かったんじゃねぇか?」 義貴先輩が綺麗に整った肩眉を下げ、半笑いで言う。 ど、どうして信じてくれないんだ! 「そうよ!蓮華!頭の打ちどころが悪くて、彰弥くんと付き合っていたこと忘れちゃってたのよ!」 椿が義貴先輩の言葉に賛同するように、両手を胸の前でパンッと音を出し、重ねた。 「ない!絶対にない!有り得ない!!」 「なんでそんなに頑なに拒むのよ!じゃあ、今すぐ彰弥くんに電話して聞いてみなさい!」 椿が急にムキになり出して、私をビシッと指さす。 「分かったよ。そこまで言うなら聞いてみる」 絶対絶対絶対ぜっっったい有り得ないんだから! 自分の携帯を取り出し、アドレス帳から彰弥くんの名前を探し出し、電話をかけた。 携帯を耳に押し当て、彰弥くんが出るのを待とうとした。 …が。 携帯から聞こえる言葉は、付き合ってる2人の仲だったら成らない言葉が聞こえる。 携帯を耳から離し、椿を見た。 そして椿の耳に私の携帯を押しつけてみた。 椿は嫌がらないで、静かに私の携帯のスピーカーから出る言葉を聞いている。 私の携帯から離れた椿は、何とも言えない顔をしていた。 「ね!着信拒否されてるんだって、これ。前に彰弥くんに電話かけた時、由衣に言われたんだ」 「こ、これは…椿にも分からないけど、でも本当に付き合ってたのよ!」 「私は着信拒否されてるんだよ…。好意をもたれてるより嫌われてるんだよ」 あれ…?でもなんで…由衣の前で彰弥くんに電話かけたんだっけ…?  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加