*+。それを頼りに。+*

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「ジャージとかじゃなくて、今よりマシな格好で少し可愛くみえる服ってないかなぁ」 自分の部屋のタンスの中を漁りながら、服を見ながら溜め息を漏らした。 「服もだけど…。あと、アクセサリーとか何か可愛いやつ持ってたかな…」 ピアスなんて、まったくしないし、リングだってしたこともない。 せめて首にネックレスをつけるくらいだ。 確か買い物に行った時に、可愛いと思って無駄に買ってしまったままのネックレスやリングがあるはずだ。 小物類を入れている棚の引き出しを引くと、結構入っている。 「うわぁ、こんなに買って使ってないって勿体無いなぁ。安物だけど、ちょっとは使ってあげないと…アクセサリーたちが可哀想だよね…」 ガサガサと漁って見ていると、可愛らしい袋が入ってる。 「……これ、貰い物」 プレゼント用の包装…私が貰ったものだ。 大切そうに、自分で端っこに置いてたんだ、きっと。 「なんだろ…」 袋から、取り出すと…可愛らしいキラキラとしたネックレスが入っていた。 「わぁ、可愛い」 光を放っているみたいに、キラキラと輝く。 ただ、自己主張が激しい輝きではなく…大人しく静かに輝いている。 アクセサリーをごちゃ混ぜに入れていた引き出しを見た。 ここの端っこに置いて…貰った袋に保管してるってことは…私にとって大切な贈り物だったわけだよね。 でも、なんでだろう…。 なんで… 「誰から、貰ったんだっけ…」 なんで贈り主を思い出せないんだろう……。  
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