*+。感情プレパレード。+*

2/33
前へ
/430ページ
次へ
今日は待ちに待った、侑弥くんとのお食事の日。 退院してから、一週間は経った。 仕事場に行くと、由衣が前よりも少しだけ優しくなっていた……気がする。 「今日、侑弥くんとお食事に行くんだ」と、意気揚々と伝えると、由衣は首を傾げ、「あれ?彼氏の名前って『侑弥』だっけ?」と言ってきた。 もうっ!彼氏じゃないのに!いつか、そうなったらいいな…なんて思うけどさ! 「彼氏じゃないよ」 「へー。蓮華、彼氏と結局別れたんだね」 「え?彼氏? 私、最初から付き合ってないけど…」 由衣の言葉に真顔で答えると、由衣は「えぇ!?じゃあ、嘘だったの!?」と喚きだした。 「ごめん…。私、無意識に嘘ついてるかもしれない…。彼氏いるなんて、由衣にも言ったんだね…」 こんなに色んな人に広めるなんて、自分が恥ずかしい。 付き合ってもいないのに、付き合ってるなんて嘘……。 そんなこと、平気で言えるようになっちゃったんだ…私は。 「なんでしょんぼりしてるの!これからデートなんでしょ?張り切っていかないとっ」 ニヤニヤと笑いながら私の背中を叩く由衣。 そう、だよね。 今しょんぼりしたって、今更遅いし。 頑張らないと! 「由衣!私、お化粧したい!」 決心を固め、由衣を見つめた。 「すればー?」 「えぇー…そんな…冷たい…。自分でお化粧出来ないよ…」 あー…自分の不器用さを呪いたい。 お化粧して気合いを入れたいのに、出来ないこの歯がゆさ、悔しさ。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加