*+。感情プレパレード。+*

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「大丈夫です!婆くさくても、きっとそんな私を見つけてくれる王子様がいるはず」 「いねぇよ」 「ついこの間だって、学園祭で『アドレス教えて』って言われたんですよ」 「ゲームの中だろ」 淡々と、望月さんと女の子は会話をしている。 女の子は、あまり……私の周りでは見ないタイプの子だ。 髪は真っ黒で、ストレート。ちょっと髪の端っこがハネている。多分寝癖っぽい。 服装も…パッとしない。 私と似たような系統の服…。 ……お世辞にも可愛いとは、言い難い子だった。 褒めるなら、質素な感じ。質素…?いや、シンプルの方が褒め言葉? …とりあえず、会ったからには知らん振りしたら、望月さんに失礼だよね…。 向こうは思いっきり私を知らん振りしてますけどね。 「も、望月さん…お久しぶりです」 勇気を振り絞って声をかけてみた。 「だいたいね、リアルな人間に目向けてないじゃん」 「た、多少は向けたことがあったような気がなくもないんですが、自分の頭の中にそのような記憶はない模様です」 「何遠回しに言ってんだ。無いんだろ」 「でも、世の中…色んな人がいますからね。お付き合い出来ない女の子がいたっておかしくはないです、多分」 「…おかしくはないけど、寂しいよね」 「………………」 ちょ、ちょっと望月さん! 女の子黙っちゃいましたよ! そんなこと言い合うって、どういう関係!? 辛口すぎない!? というか、私のことスルーしすぎじゃないですか!? そんなに視界に入らない存在なの、私って!!  
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