*+。感情プレパレード。+*

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とりあえず、アイスは後で良いという話になり、侑弥くんが教えたかったと言っていたお店に入った。 店内は明るく、ウッド調で合わせてるみたいで、温かい雰囲気。 中に入ると、美味しそうな香りが漂ってくる。 「…ここ、何屋さん?」 「リゾット専門店」 「侑弥くんがリゾットのお店って、意外だね」 侑弥くんがこんな可愛らしいお店知ってるのも意外だけど。 「んー、まあ…女ってこういう雰囲気の店好きなんだろ?」 「そうだね!私は好きだよ」 侑弥くんと居ると楽しくなっちゃって、席に座りながらルンルン気分で答えた。 「だろうな。今度、彰弥と来れば?」 メニュー表を見ながら、侑弥くんがすらすらと言う。 何の気なしに言われた言葉が、私の心に氷みたいに突き刺さる。 「……なんで、彰弥くん…?」 「え?なんで…って」 私が聞いたら、侑弥くんは困ったような顔をして私を見る。 なんでそんな顔するの? 私がしたいよ、その顔は。 「…ゆ、侑弥くんも何か誤解してる?私と彰弥くんが付き合ってると思ってる…?」 思ってないって、違うって言って…。お願い。 「え?違うのか?」 「…………違うよ…。私が好きだったのは……ずっと…ずっと…」 ずっと、侑弥くんだけだよ。 そう言おうとしたら、「いらっしゃいませー。メニューはお決まりでしょうか?」と店員さんが笑顔でやってきた。 「あ、いや、まだ決まってないっす。決まったら呼びます」 侑弥くんが慌ててそう言うと、店員さんは「分かりました」と言って、颯爽と去っていった。 「……………」 「……………」 店員さんが居なくなった後、沈黙が痛い…。  
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