*+。会いたい。+*

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……夜、仕事が終わり、家に帰ると、プルルルル…っとケータイが鳴り出した。 「おぉっと! 電話かな…?」 玄関前で鳴り出すものだから、近所迷惑にならないだろうか…と思い、ケータイを開き、電話に出てみた。 油断していたせいか、相手は誰だか全く確認せず出てしまった。 「はい、もしもし」 『おー!俺ー!』 「あぁ、侑弥くん。久しぶりー」 侑弥くんだー。改めて電話しなくてもいいのに、何の用だろう? 『おぅ!久しぶりー!…じゃねぇよ!!てめー、メールで俺が飯誘ったにも関わらず、返事返さねーって、どういうこった?』 電話から、怒声が爆発している。 ついマンガみたいに、耳から電話を素早く遠ざけた。 「ごめんごめん。だって、返事は急いでないからみたいなこと書いてあったから、まだ大丈夫かなーって思って」 『うるせえ! 確かに暇な時でいいって送ったけど、3日も経ったら日にちオーバーだ!俺を無駄に待たせるな!』 どこの亭主関白ですか、あなたは。 「ごめんね。ご飯は食べに行きたいんだけど、今週いっぱいは難しいんだ」 合コンとか、あるし…。 『んじゃ、いつくらいから暇?』 いつくらいから暇…?んーと、確か来週の火曜日は無理だから…金曜日あたりだったら…私確か休みだったなぁ。 「金曜日なら、大丈夫だと…思う」 多分。 『あぁ゛!?大丈夫だと“思う”だぁ?』 侑弥くんがケータイのマイク越しからドスのある声をだしてくる。 「わー!ごめんなさいごめんなさい! 大丈夫だと思います!」 『ちげーよ!敬語に直したって意味ねぇし! …絶対金曜日は大丈夫なんだろうな?』 「うん…いや、はい!大丈夫です!」 侑弥くんの怒った声に焦り、勢いよく言うと、フッと侑弥くんの笑った声が聞こえた。 「侑弥くん?」 『ん?いや、何でもねぇ。詳しい詳細はメールで送る。じゃあな』  
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