*+。感情プレパレード。+*

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「構わねーよ。待たされる方が嫌いなんだ。早く注文するぞ」 侑弥くんが呼び鈴を押すと、女性店員さんが駆けつけてくれた。 「はい、ご注文はお決まりでしたか?」 「はい、チーズたっぷりリゾット1つ」 侑弥くんがそう言い、視線を私に向けてきた。 分かったよ、私もう迷わない! 決めたよ。 「えっと、チーズたっぷりリゾット1つ」 「お前、俺の話聞いてた!?」 私が注文した途端、侑弥くんがテーブルを勢い良く叩いた。 「え?」 私、なんか悪いことしたっけ? 「お前は、トマト何とかだろうが! さっき半分こしてやるって言ったばっかだろ!」 「あ、そうだった。注文するのに緊張して、つい同じやつ頼んじゃった」 あはは、と私が笑うと、店員さんは困った顔をしながらも愛想笑いしてくれた。 「では、ご注文変えますか?」 「あ、はい。すみません。えっと、チーズたっぷりリゾット1つを、トマト何とかに変更して下さい」 「注文の仕方、アバウト過ぎだろ。ちゃんとした名前で答えろよ」 「えっと、何だっけ。トマトソース…リゾットみたいなやつです」 私がそう言い、店員さんはずっと笑顔をキープして、メニューを確認し、最後まで笑顔のままだった。 「…あの店員さん、優しい感じの人だね」 店員さんがいなくなってから、侑弥くんに囁くと、「内心どう思ってたか分からねーけどな」と投げ捨てるように言われた。  
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