*+。感情プレパレード。+*

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――椿side―― 「ふぅ、義貴くんと話しすぎちゃった!相変わらず格好良すぎなのよね」 深夜12時、義貴くんとの長電話が終わり、リビングに飲み物を飲みに行こうと、自分の部屋を出た。 「…あれ?」 蓮華の部屋、真っ暗。寝ちゃったんだ……。 帰ってきたら、早々に寝たのね。相当疲れてるみたい…。 あら?蓮華の部屋の前に…何このビニール袋…。 何か沢山ゴミ入ってる…。 ジーッとビニール袋を見ると、鮮やかな鶴が悲しそうにビニール袋に入れられている。 「あら…これって…」 そういえば蓮華が… 『ねえ、椿』 リビングでノビノビとしてたら蓮華がやってきて、照れくさそうにしてた。 『なぁに?』 素っ気なく聞くと、蓮華は折り紙と鶴を椿に見せてきたっけ。 『これ、彰弥くんのために今折ってるんだ!雑誌によると、好きな人に一瞬の癒しをあげれるんだって』 『そうなのー』 『椿も義貴先輩に折ってみたら、どうかなぁ』 『椿自体が義貴くんの癒やしだから、大丈夫よ』 『その自信はどこから来るのかね…』 折るのが簡単すぎるから、あの時は適当に言った。 でも…不器用な蓮華には折るのにも時間がかかったはずよ。 『蓮華はやるの?』 首を傾げて聞くと、蓮華は笑った。 『もちろん!彰弥くんにちょっとでも喜んでもらえたら嬉しいもんね』 そう笑った蓮華の顔は、一途な女の子の顔だった。 ―――――――― ――― なのに、今…その蓮華の姿はどこにもない。 彰弥くんのこと大好きだった蓮華の姿は………もう見れない……。  
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