*+。感情プレパレード。+*

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「馬鹿よね、蓮華は」 よく分からないけど、なんで椿がこんなに悲しくならなくちゃいけないの…? ついこの前まで、彰弥くんの話を楽しそうにしていた蓮華。 『彰弥くん、これ出来上がったの見たら、何て言ってくれると思う? 楽しみだなぁ』 笑って、この鶴見てたじゃない。 楽しそうにしてたじゃない。 なんで、忘れちゃうのよ…―。 「馬鹿、馬鹿」 ビニール袋の中に手を入れ、折り紙の鶴を拾った。 一匹ずつ捕まえて、ビニールから出していく。 「馬鹿ね…っ、ホント…に…っ」 悔しいったら、ありゃしないわ。 なんで椿があんたの為に泣かなきゃいけないのよ? 蓮華、26羽まで作ったって言ってたわよね。 1、2、3、4、5、6…………………26羽。 よし…、全部取れたみたいね…。 『彰弥くん、今頃何してるかな?』 フと、蓮華がよく呟く言葉。 彰弥くんが好きで…きっと大好きで仕方なくて……蓮華の中はいつも彰弥くんで埋め尽くされてるはずだったのに…。 ぽっかり穴が空いたみたいに、蓮華の中から彰弥くんが消えた。 「……ほんとっ……あんたは…馬鹿ね…っ」 明日は確実に目蓋が腫れてるわ。  
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