*+。感情プレパレード。+*

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「どこって……」 前川さんはそう言いかけ、言葉を止めた。 「…どこか分からないんでしょ?」 私がそう言うと、彼女は焦ったように 「…い、色々好きだったの!顔とか、見た目も格好良かったし!」 と言う。 「顔…?」 前川さんの言葉が、私の心の中で木霊する。 顔? 見た目? そんなことで、彰弥くんを好きになったの? そんな理由で彰弥くんに告白したの? そんな理由で、彰弥くんと付き合ったの? そんな理由で……。 「前川さん、ちょっと言ってもいい?」 心の中に何かが沸々と沸き上がる。 これは怒り…? イライラ…? 何でだろう。 何だか前川さんにとてもイライラする。 「なに?」 この気持ち、全部吐き出したら楽になれるかな。 「前川さんだけが可哀想じゃないよ。 彰弥くんも侑弥くんも傷付いたんだよ。 前川さんが見てたのは、彰弥くん自身じゃないでしょ? 彼の外見だよね…。 彰弥くんも、侑弥くんも……いつも自分たちを間違えられるから…前川さんにだけは気付いて欲しくて…ああいうことしたんだと思うんだ……」 「…そんなの分かるわけない。 …だからって、そんなことして良いと思う?」 前川さんも声を震わせ、感情を押し殺してるような様子だ。  
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