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「確かに気付いて欲しいから前川さんのこと傷付けたっていうのはいいわけじゃない。
…していいわけじゃないけど、2人も辛かったんだっていうことを…分かって欲しい」
真っすぐ前川さんの目を見つめた。
前川さんはちょっと怒ってるような表情だったけど…。
「………だからって…勝手すぎる…。あたしの気持ちはどうなるの…?」
そう言って、困ったように眉を寄せた。
確かに勝手だったかも…。ただ言い訳を押しつけてるだけかもしれない。
けど…前川さんに分かって欲しい。
「………彰弥くんは、本当に前川さんが好きだったんだよ」
……そう言った後、胸がとてもざわついた。
あれ…?なんでだろう……。
何だか悲しくなってくる…。
なんで…?
「……………」
私が言い切ると、前川さんは俯いてしまった。
し、しまった…!
ちょっとキツすぎた!
「ご、ごめんね…!
勝手なこと言っちゃって…。
でも……さっき言ったことは全部本当だから…。
許してあげて…とは言えないけど、辛い過去を忘れて、元気になって」
前川さんにそう言い、私は都合良く、ちょうど降りたかったとこで止まったから、バスを降りた。
振り向くと、前川さんはまだ下を向いてる。
……ずっと引きずってるってことは、前川さんも辛いんだろうなぁ。
お互い忘れられたら、楽になれるのかな…?
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