*+。感情プレパレード。+*

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急に彰弥くんとの思い出が一気に頭の中を駆け巡り、気が付けば涙が頬を伝っていた。 彰弥くんに『好き』って言われた時、夢じゃないかってくらい嬉しくて、飛び跳ねたかった。 彰弥くん…彰弥くん…。 大好きだよ……。 「……っ……」 嫌だ…。 前川さんと、また付き合うってことになったら…嫌だ…! 絶対に嫌だよ…―。 そう思うと涙がボロボロ止まらなくて、鼻を啜りながら静かに目を擦っていた。 って言っても、近くに座っている人にはバレてるかもしれない。 ぶ、ブサイクが更にブサイクになってしまうじゃないか…。 「これ、使えば」 下を向いてると、ポケットティッシュが見える。 え…?誰…? こんな天使みたいなことをしてくれる人は……。 「あ、ありがどぉござびまず…っ」 そう言って、ティッシュをもらい、顔を上げると…… 「あんたって大抵普通にしてる時がないよな」 「だ、大丈夫ですか?何かあったんですか?」 呆れ顔の望月さんと、戸惑っている関谷さんがいた。 「……あ、あたひ…っ…」 口が回らない…。 どうしよう…。一度は両思いだった2人……寄りを戻しちゃったら…。 私、捨てられる…。 それに、前川さんを応援してたのに…今は頑張って欲しくないって思うなんて、相当勝手だ……。 「お、落ち着いて下さい。何か悲しいことでもあったんですか…?」 関谷さんまで、私みたいに困ったような顔をしてる。 立ちっぱなしの望月さんと関谷さんは、心配そうに私を見ている。 「…ご、ごめんなさ…っ。好きな人に振られちゃいそうで…っ」 ティッシュで必死に目を擦った。 ああ…目痛い…。 「あんた、彼氏いるとかいないとか言ってたけど結局どっちなの?」 「え…い、いますけど…」 私、いないなんて言ったっけ? あれ?でも、何かここ数日自分が周りに対して何て言ってたか全く覚えてない。  
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