*+。感情プレパレード。+*

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「いるんじゃん。 なんで嘘ついた?」 望月さんが首を傾げ、呆れ混じりに聞いてくる。 「わ、たし…っ、嘘なんて……ついてません……っ」 涙が溢れる。 私の携帯は、着信拒否されてるし…彰弥くんの気持ちが冷め切ってるってこと…なんだよね…。 「あ、あの…っ、私にはよく分からないんですけど…、二階堂さんは…その人のこと、好きなんですよね…?」 関谷さんが戸惑いながら聞いてくる。 この手の話は苦手なのか、声を震わせて…。 「…う、うん」 「だったら……」 バスの揺れが激しいのに関谷さんは立ちながら、私に聞こえるように必死に何かを言おうとしてくれてる。 で、でも…周りの学生の声が大きくて聞こえない……。 それに、この時間帯のバスって混んでるから、関谷さんは今にもあっちにユラユラ、こっちにユラユラしっぱなしだ。 そんな状態なのに、私に頑張って話しかけようとしてくれる。 そんな関谷さんを見てると、何だか可笑しくなってきた。 「…ひっ……ふへ…うっ……」 涙をボロボロこぼしながら笑う。 私って、多分変な人。 「……泣くのか笑うのか、どっちかにしろよ」 望月さんの呆れた声に、私も「確かに…」と自分のことながら、また泣き笑いしてしまった。 関谷さんはユラユラ揺れながらも、頭の上にはクエスチョンマークを浮かべている。  
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