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「な、なんで今度は…笑ってるんですか…?」
関谷さんがそう聞いてきたから、涙を拭い、答えようとすると、私の前の席の人が立ち上がり、席が空いた。
あ…1席しか空いてない。
どうしよう…2人が座れるように私が立とうかな…。
なんて思い、腰を上げようとすると…。
「ここ座れば」
望月さんが関谷さんに対して、言う。
「わ、私は大丈夫です!望月さんこそ、座って下さい…!」
関谷さんはユラユラ揺れながらも断った。
関谷さん、座っちゃいなよ…。
「そんなユラユラ揺れてんのに、大丈夫か?」
「だ、大丈夫!
私、案外立ってる方が好きですし!望月さんこそ、どうぞどうぞ」
すごい遠慮してる……。
立ってるの好きって言ったわりには辛そう…。
「いいから座れ」
「い、いいです。大丈夫です!私、逞しい身体になろうと頑張っているので」
「足が逞しくなったって、嬉かねぇだろ」
「い、いいんです!
足、マッチョの人は、美しい白人から告白されるんですよ!
今みたいな混んでる時に!」
「それお前がやってるマニアックなゲームじゃねぇか!」
関谷さんがなかなか折れない。
他の人見つけて座る前に、早く座ってー!
涙もおさまるくらいに2人のやり取りに私は夢中になっていた。
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