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「…そういえば、関谷さんと望月さんはどんな関係なんですか?」
この2人の距離感が気になる。
付き合ってるわけでもなさそうだし、兄弟みたいな雰囲気だけど苗字が違う時点で兄弟じゃないよね。
望月さんと関谷さんはお互い顔を見合わせ、首を傾げた。
「…なんだろな」
「なんでしょうね」
お互いの関係が分からないのが一番厄介な気がする。
恋愛にも発展しなければ、友情もない……そんな関係を何て呼べばいいのだろう。
「…付き合ってるわけでは」
「絶対あり得ねえ!!」
「断じて違います!!」
私が言いかけると、望月さんと関谷さんが勢いよく言い放った。
望月さんはともかく、関谷さんが勢いよく否定するとは…意外。
「じゃあ、お友達ですか?」
そう尋ねると、それもまた違うみたいで…さらに首を傾げた。
「友達…とは違いますよね?」
「そうだな」
この2人の兄弟みたいな優しい雰囲気は好きだけど、一体どういう関係なんだ…。
「…望月さんは……私の師匠みたいなものです」
関谷さんがにっこりと笑うと、望月さんは「…まー、そんな感じ」と言う。
師匠…?
「…私がリアルな人間に恋を出来ないから、望月さんが『可哀想』って同情してくれて…それで…」
可哀想と同情?
どちらかというと、望月さんは哀れみな気持ちを持って言っただけっていう感じがする。
「ま、そうだな。最初は、ちょっと気になる子が出来て…で、その子の友達のコイツに協力してもらうようにしたわけ」
んー、難しい関係だなぁ。
「要するに、お互い利用し合ってるってことだ」
望月さんの言葉が、やけに切なく聞こえた気がした。
利用する…だけ?
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