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「どうぞ私の携帯を使って下さい!」
関谷さんは、なにやら興奮気味だ。
「いや、でも外国にいるから、国際電話になっちゃってお金も…」
「かまいません!
どうぞ使って下さい!!」
えぇ!?関谷さんがそこまでムキになる理由が分からない!
「いやいや、申し訳ないし…いいよ。自分で何とかするから」
って言っても、何をどうすればいいか全く分かりませんけどね、はは。
「大丈夫です!
気にしませんから!」
「いいってば!使えないよー!」
関谷さんと私の携帯押し付け合戦が始まってしまった。
私よりも、関谷さんの方が真剣にこの話を考えてくれているみたいだ。
「…多分、関谷は不純な動機だな」
望月さんがボソッと言う。
「人の好意をそういう風に言うのは、あまり良くないと思いますよ」
関谷さんの熱意を受け取らない私も私だけど、関谷さんの優しさをそういう風に言うのは…どうかと…。
この前会ったばかりの人とは思えないくらいに真剣に話してくれてるのに。
関谷さんはその言葉を聞いたせいか、下を向いて震えてるみたいだった。
「…関谷さん、望月さんの言ったことはあまり気にしない方がいいよ。
関谷さんの気持ちは、私には充分伝わったから」
関谷さんを落ち込ませないように優しく声をかけた。
関谷さん、落ち込んでない…よね?
そう思った瞬間、彼女は顔を上げた。
「大丈夫です!全く気にしてません!
でも外国に居る彼と遠距離恋愛って、かなり燃えますよね!?それにその危機感がある感じが何とも…素晴らしい!
そこに出くわせるなんて、なんか嬉しいです!
青春って感じがしますね!」
とんだじゃじゃ馬娘だあぁ!!
すごい不純な動機だよ、この子!!
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