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「…関谷さん、面白半分とかじゃないよね?」
「そんなわけないじゃないですか!私は本気です!
全力で『面白い!』と思ってます!」
最近知り合った人だけど、はっきり言うよ!
最低ですね!
…口に出して言えなかったから、心の中で言ってみた。
「でも、あんたさ…あんなに泣いてたんだから電話くらいしてスッキリしたら?」
望月さんが関谷さんの携帯を私に差し出した。
た、確かに……。
ぼろぼろ泣いて、悔しがるんだったら……せめて気持ちを伝えて悔しがった方がいい。
無言で携帯を受け取った。
関谷さんの真っ黒な携帯が、私の心の黒い塊みたいに見えてきて、ちょっと顔が渋る。
「……かけてみます」
そう言ったは良いものの、緊張のあまり指が震える。
ど、どうしよう…。
もし……私の気持ちまで拒否されたら……。
そう思うと、思うように指が動かない。
黒い携帯を持ったまま、私は固まった。
どうしよう…。
話しすら聞いてくれなかったら…。
冷たかったら、どうしよう…。
どんな反応でも傷付かない自信がない。
ああ、目の前がぼんやりしてきた…。
「…二階堂さん」
「…な、なに?」
私が負の世界に溺れそうになっていると、関谷さんの声で俯けていた顔を上げた。
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