*+。もう一回。+*

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「……………」 『……もしもーし、どちらさまでしょうか?』 ……彰弥くんだ。 彰弥くんの声だ…。 「……………」 『…イタズラですか?もしもーし…』 間違いなく……。 声を聞いてるだけで涙が出そうになる。 穏やかな彰弥くんの声が…久しぶりに感じる。 この前も確か会ったはずなのに、彰弥くんの声がとても懐かしくて……とても愛しい。 「……やくん」 『はい…?』 声が掠れる。 喉が焼けそうな感覚。 「…彰弥く…っ…」 言葉を上手く出せないけど、私の声はちゃんと彰弥くんに聞こえてるかな? 届いてるかな? 『…もしかして、蓮華…ですか?』 彰弥くんの言葉に、私は何回も頷いた。 彰弥くんに見えるわけがないのに、何度も頷いた。 「…う、ん…。私だよ…」 『どうしたんですか?怪我はもう大丈夫なんですか?』 「だい…じょうぶ…。ありがとう…」 『…そうですか。 どこか痛むところももう無いんですか?』 「うん…っ、もう完璧に治ったよ」 『…良かった。 女の子ですからね、後が残ったら困りますから』 この声が一番落ち着く。 会いたいよ…―  
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