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「関谷さん、ごめんね。私、悪いこと言ったつもりはないんだけど…」
そこまで動揺するとは思わなかったなぁ……。
私が謝ると、関谷さんはアタフタし出す。
「ち、違うんです!二階堂さんが悪いわけじゃなくて、私が悪いんです!
だから気にしないで下さい」
そんなこと言われても、関谷さんに不愉快な思いをさせたのは、きっと間違いなく私だ。
理由は分からないけど…。
「…ちゃんと理由も言わねーと、納得しないだろ」
望月さんがポンッと関谷さんの頭を軽く叩いた。
関谷さんは下唇を噛み締め、何かを決意したように私を真っすぐ見てきた。
「……私、褒められるのが怖いんです!!」
「えぇええぇ!!」
関谷さんのよく分からないカミングアウトに、私は大きな声で驚いた。
「昔から、褒められたら…涙が出そうなくらい怖くなっちゃって…」
関谷さんはビクビクしながら言葉を告げる。
世の中っていうのは、色んな人がいる。
どうしてか分からないけど、ここで深く首を突っ込んでも…関谷さんを傷付けるような気がする…。
「そっか、褒められるのが苦手ってことは、罵られたりするのが好きなんだね。
じゃあ関谷さんはエムなんだね」
冗談混じりに笑って言ってみせると、関谷さんは「へ?」と首を傾げた。
「私も少女漫画とか好きだから、私から見たら望月さんはエスで、関谷さんはエム。
2人は相性が良さそうだね」
「…あ、有り得ない!無理!無理!無理!無理無理!!」
「俺の方が嫌だわ、馬鹿」
拒絶の言葉を吐き出す関谷さんに、望月さんがフンッと顔を逸らし言う。
「ああっ!ですよね!すみません!」
関谷さんは望月さんに柔らかい笑みを向けた。
…やっぱり拒絶されたり罵られたりする方が好きな子なのか?
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