*+。会いたい。+*

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次の日…― 「よしっ!とりあえず、これくらい買っておこう!後は無くなったら、また買えばいいか」 今日休みだった私は、鶴を折る為に100円均一で大量の折り紙を買ってきた。 「今日は、家でのびのびと鶴を折るぞー!」 両腕を上げ、伸びをしてやる気に満ち溢れていた。 ふふっ、彰弥くん彰弥くん。 頭の中で沢山の彰弥くんとの思い出が繰り返される。 楽しかったことや嬉しかったこと…苦しかったことや悲しかったこと…。 本当に終わりなんだ…って思った時もあったけど、諦めずに想い合ったから…今の私達がいるんだ。 折り紙を折りながら、鼻歌を歌った。 この曲…彰弥くんと初めて好きな歌が被ったんだよなぁ。 嬉しかったなぁ。 高校生の頃、彰弥くんと下校していると… 『ふんふんふふーん』 何気なく鼻歌を歌ってみた。 なんだか、そんな気分だったから。 『…その歌、何の歌ですか?』 私の鼻歌が気になったのか、彰弥くんは首を傾げてきた。 『私の好きな歌だよ。曲名が“サヨナラ”って言うの。歌詞がすごい切ないんだ』 悲しい曲が好きだった私は、片思いや悲恋ソングを片っ端から聞いていて、この曲に出会った。 『もしかして、香川ユキエが歌ってる曲の“サヨナラ”ですか?』 『おっ!そうそう!知ってるの!?』 『はい、その歌俺も好きなんですよ』 『ええ!!嬉しいなぁ!初めて、好きな曲が一緒になったね!』 『そうですね』 私が笑うと、彰弥くんも笑ってくれた。 『結構特徴的な曲なのに、なんですぐ分からなかったの?』 『ああ、それは蓮華の鼻歌の音程がズレていて、すぐ分からなかったんです』 『えぇ!?私って音痴!?鼻歌に音痴とかあるの?』 『さあ』 『酷い!流し方、雑っ!』 ―――――――― 爽やかに笑って言う彰弥くんの言葉に、ちょっと心にグサッときたっけなぁ、ハハ。  
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