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今日の収穫といえば、彰弥くんと久しぶりにまともに会話が出来たことと、関谷さんが思っていたより変わっている人だということだ。
でも関谷さんと話は合う。
クリスピタヌキの名場面を語る時なんて、好きな場面が同じだもの。
しばらく関谷さんとお話をし、そろそろ帰ろうと話に区切りをつけた。
私たちが熱弁している間、望月さんは本を読んでいた。
「じゃあ、そろそろ帰りますか」
「そうですね」
「電話代のお礼と言ったらアレだけど、私が払うよ」
関谷さんが鞄からお財布を取り出そうとしたから、それを制し、自分の財布を見せた。
「…え!あ、いいですよ!そんな!」
「いいよ!遠慮しないで!
関谷さんのおかげでスッキリすることも出来たし、お礼として払わせて!お願いします!」
頭を下げて頼むと、関谷さんは戸惑いながらも承諾してくれた。
「…あ、ああ。じゃあお願いします…」
「うん!」
「じゃあ俺も」
関谷さんの隣りに無言のまま座って本を読んでいた望月さんが急に口を開いた。
「え!?何がですか!?」
「俺の分も払って」
「…………」
ま、当然そう言うわな。
「…分かりましたよ。望月さんの分も出します」
不服気味に言ってみせると、望月さんは特に気にすることもなく、「…わりぃな」と言った。
だったら、自分で払えーー!
なんて、言ってやりたいけど怖くて言えない。
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