*+。もう一回。+*

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「あ、でも…二階堂さんバス代とか…その他諸々買ったりしますよね? 私、まとめて払っちゃいますよ」 気を遣いながら言う関谷さん……。 うう、なんて優しいの…。 「ご、ごめんね…気遣わせちゃって」 自分の不甲斐なさに溜め息が出る。 こんなことなら、お昼に奮発してピザなんか食べなきゃ良かった。 「なに?関谷払うの?」 望月さんが携帯ゲームをやめ、ようやくこちらに近付いてきて、関谷さんのお財布を覗き込んだ。 あまりにも軽く見るものだから、人のお財布は勝手に見ちゃいけないんだぞ!と言ってあげたい。 が、怖くて言えない。 「はい」 関谷さんが返事をし、お金を取り出そうとした。 けど…… 「じゃあ、俺いい。 自分で払う」 そう言って望月さんが長財布から出したのは5000円で。 店員さんにサラリと渡し、サラリとお釣りを頂いていた。 「あ、私!自分の分払いますよ!」 「私も払います」 私と関谷さんがそう言うと、望月さんは「小銭邪魔だから要らない」と言って、お店を出た。 「で、でも!」 私と関谷さんは粘ったが、要らないと言い張られ、不服だが奢られることにした。 「分かりました。じゃあ、すんなり奢ってもらいます。 ありがとうございます」 私がそう言うと、望月さんの目がギラリと光る。 「誰が“奢る”って言った?これは“貸し”だから」 にんまりと笑う望月さんに、私と関谷さんは引きつり笑いをしていた。 信じられない。 紳士的な姿を一切見れない。  
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