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「関谷さん、彼は本当にモテるのかな…?」
前を歩く望月さんに聞こえないように小声で関谷さんに疑問を投げかけた。
「望月さんは、私から見たら、とても素敵な方ですよ」
「へえ、そうなんだ」
きっと私には分からない…私に見せたことがない一面も沢山関谷さんは見てきたんだろう。
「望月さんは、自分に好意を抱いている女の人を雨が降っている中待たせた挙げ句、その人が寝込んでもお見舞いには行かず、軽やかにその女性の話題を流し何事も無かったように接する人です」
「ちょっと待ってえぇぇ!世間一般ではそんなことをする人を素敵な人呼ばわりしないよ!?」
おかしい!明らかにおかしい!明らかとか、そんな言葉いらないくらいおかしい!
関谷さんは、望月さんのどこを良い人だと受け取ったんだろ?
いまいち分からんな。
「……望月さんは、残酷なこともする人だけど、その分優しいところもあったりなかったり…」
「そこぼやかされたら結局どんな人か分かんないんだけど!」
「…一緒に居たら、分かるようになりますよ」
関谷さんは、あははっと笑って、望月さんの後ろ姿を真っすぐ見た。
……私にはどうしても分からないけど、関谷さんは望月さんのことをとても信頼してるみたいだった。
そんな相手がいるなんて羨ましいなぁ…なんて思ったけど、私も彰弥くんが帰ってきたら、きっと人に紹介する時こう言うだろう。
【誰よりも素敵な人…―】
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