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「彰弥くんを想って作ったものなのに……捨てちゃうなんて…」
最低だ。
どうしよう。
彰弥くんに会わせる顔がないっ!
好きな人のことを考えて作ったものを、私は糸も簡単に捨ててしまった。
顔中から変な汗が出てくる…気がした。
とりあえず、探さないと…!
「お、お母さん!!私の部屋の前にあったビニール袋どこにやったか分かるー!?」
階段のところから、1階にいるお母さんに聞こえるように大きな声で聞いた。
「そんなのとっくに捨てたわよー!あんた、出しっぱなしなんだもの!」
お母さんのちょっと怒り気味の声が聞こえ、私は下唇を噛んだ。
た、確かに私が悪い。
まだちょっとしか作ってなかったけど、彰弥くんとの思い出を思い出しながら一羽一羽丁寧に折ったんだ。
「…………」
何も言えなくて、私はペタンと床に座り込んだ。
最近何故だか色々なことが有りすぎた気がする。
また、折らないと。
最初から大して数は折っていなかったんだ。
折っていなかったんだけど…、彰弥くんへの気持ちを自ら捨ててしまったみたいで…酷く気持ち悪い。
自分に腹が立つ。
「たっだいまー」
階段で座り込んでいると、大学から帰ってきた椿の声が下から聞こえ、私は自分の部屋に逃げるように入った。
こんなことしてる場合じゃない…!
新しく折らないと!
彰弥くんに渡すんだから…!!
気を取り直して、私は折り紙を棚の引き出しから取り出した。
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