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「ねぇ、蓮華。なんで鶴折ってるか分かってる?」
椿が、顔を訝しげに歪めながら聞いてきた。
なんで?
「彰弥くんに見せたいからだよ。ちょっとでも癒やしをあげられたらなぁって…。
あれ?前にも椿に言わなかった…け…?」
鶴を折りながら話して、途中で椿の方を向くと…―。
「バ…、バッカ…ね…。遅いのよ…気が付くのが…っ」
椿が泣いていた。
なんで…―?
「え?椿?ど、どうして泣いてるの!?何かあった?
もしかして義貴先輩と喧嘩でもしたの!?」
私は椿の涙を見て、あわあわと慌ただしくすることしか出来なくて…。
そんな私のおでこを椿はペシッと片手で叩いた。
「いだぁっ!」
「…バカ!本当に…バカ…ッ!」
「えぇ、私何もしてないんだけど…まだ」
私のこと、沢山バカって呼ぶのって…いつも椿だよなぁ。
「…しょ…、彰弥くんのこと…っ、どう思ってんのよぉ~?」
「え?どうって?
なに?」
「だ、だから…っ、好きかどうかって聞いてんの!?バカァ…!!」
また椿は可愛らしい顔に似つかわしくないくらいの大口を開けて、涙を流した。
何が何だか、私にはさっぱり分からんな…。
でも……。
「す…好きだよ!彰弥くんのこと、大好きだよ!」
大真面目な顔をして、椿に伝えた。
あ……!
そしたら、椿は柔らかく笑うんだ。
涙を流しながら笑うから、まだちょっと戸惑うけど…やっぱり泣いてる時より可愛い。
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