*+。おかえり!。+*

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フワッと華を舞わせるように笑う椿に、私も顔を微笑ませた。 私が笑ったら、椿は更に笑みを濃くし、若干怖くなってくる。 「うふふ」 「あはは」 椿が笑うから、私も笑った。 「うふふ」 「あはは」 「…そいのよ」 「え?」 今、何か言った? 「遅いのよ、バカ!気付くのが遅すぎ!どれだけ心配かけたら気が済むの!」 「うう…」 何でこんなに怒っているのか私には皆目見当もつかない。 私……気付かない間に何かやっちゃったっけ…。 とりあえず、謝っておこう。 「…ご、ごめんなさい」 椿の禍々しいオーラに圧巻され、私は自分でも気付かない間に、椿の方を向いて正座して頭を下げていた。 いわゆる、土下座ですね。 「…もぅ…。 ちょっと待ってて」 椿は小さく溜め息を吐き、私に言葉を投げかけ、部屋を出て行った。 「……」 また怒らせると困るから、正座して待っていよう。 そう決意を固め、正座をしていると、すぐに椿が戻ってきた。 「…これ」 椿の手に握られてるビニール袋。 それを突き出され、私は首を傾げた。 何だ? 何かくれるのかな? 「…ありがとう」 お礼を言って、ビニール袋を受け取り、中を覗き込む。 「…!!!」 顔を上げ、椿を見た。 「あんたがバカしたから、拾っておいてあげたの」 「…あ、ありが…と…」 あったんだ。 良かった…良かった…。 彰弥くんへのプレゼントの欠片…―。 ここにあった…。 ビニールの中には、色とりどりの鶴が積まれていた。  
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