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「懐かしいなぁ」
彰弥くんとは、趣味とかが同じっていうわけでもなく、むしろ正反対なんだよね。
彰弥くんは、ミステリー小説とか読むの好きで、私は少年マンガや少女マンガを読むのが好き。
彰弥くんは、ブラックコーヒーを簡単に飲めちゃう人で、私はブラックコーヒーどころかコーヒーさえ飲めないココア大好きっ子。
話しだって、彰弥くんが大好きなクラシックとか洋楽、私は全く分からなくて。
それと同じで、彰弥くんも私が大好きなアニソンや邦楽のポップミュージックが全く分からなくて。
でも…―
『蓮華、何聴いてるんですか?』
私が、たまに耳にイヤホンをつけて曲を聴いていると、彰弥くんはいつも聞いてくる。
『私の好きな歌。今一番聴いてるんだ。彰弥くんも聴いてみる?』
イヤホンを渡すと、彰弥くんは戸惑わずに耳にイヤホンを当てる。
しばらく聴いていると、彰弥くんは、耳からイヤホンを離し、私に返してくれた。
『どうだった?テンポ良いよね』
私が感想を聞くと、彰弥くんは渋い表情を浮かべる。
彰弥くんが明らかに苦手とする曲だと思う。
女の子のロリロリな声で、曲のテンポは速い。深夜アニメのオープニングに使われている曲で、私はとっても好き。
『蓮華の好きそうな曲ですね。そういえば、この前聴かせて頂いた曲も、似たような感じの曲調でした』
『でしょ!
そうそう!この前の曲も、この曲と同じ人が歌ってるんだよ』
苦手な曲なのに、私の話に合わせてくれようと、彰弥くんは笑って、話してくれた。
それが嬉しくて、私も笑った。
苦手なはずなのに、笑って相づちを打ってくれた。
その気持ちが嬉しかった。
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