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翌日…―
今日は、早く起きて早朝に鶴を折った。
昨日は初めは苦戦したものの次第に作業にも慣れてきて、だんだんスムーズに折っていくことができた。
内職してる人の気持ちもだんだん分かってきた。
そして、仕事に行くまで鶴を折り続け、通勤途中のバス待ちの時やバスに揺られている時さえも座って折った。
仕事に着いても、暇があれば折った。
昼休み中に、その作業をしている私を見て、由衣が首を傾げた。
「……誰か入院したの?」
千羽鶴を作るのかと思っているみたいだ。
「…ううん。
私の…か、彼氏…が帰ってくるから」
何だか“彼氏”という言葉に抵抗を持ってしまう。恥ずかしい…。
「彼氏、怪我でもしたの~?」
「違うよ。雑誌で見たの。百羽鶴を折って恋人に癒やしをあげましょう、って」
私が折った鶴を摘んで、由衣は「へぇ~」と言い、興味なさそうにコーヒーを飲んだ。
「由衣も折ってみたら?」
「イヤよ。この鶴あげるんだったら、由衣自身をあげるもん」
「…?」
「蓮華も自分自身をあげてみたら?彼も喜ぶんじゃない?」
由衣はそう言って、食堂の席を立つ。
……わけわかめ。
「あ!わ、私も行く!」
私も休憩を終わらし、鶴を急いでしまい、席を立った。
さっきの由衣が言ってたこと…よく分かんないや。
ま、いいか。
あともう少しで折り終わる。
頑張ろう。
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