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まあ、いいか。
運転手さんに聞けばいいや。
「すみません。今何時か分かりますか?」
運転手さんが信号待ちのところを見計らって訪ねると、「…んー、12時過ぎくらいですねぇ」と間延びした返事をくれた。
「ありがとうございます」
冷静なお礼とは異なり、私の頭の中はただ驚いていた。
うそ!?
まだ12時だったの!?
確か彰弥くん帰ってくるのが、15時くらいだった気がする……。
早すぎた。
けど、今更引き返すのもタクシーの運転手さんに変な奴だと思われるし、何よりお金がまたかかってしまう。
もう空港にも着いちゃうし、このまま空港まで行ってもらって、時間潰しながら彰弥くん待ってた方がいいな。
うん、そうしよう。
そんなことを頭の中で考えていると、早速空港に着いた。
「はーい、ありがとうございました」
タクシーから降り、初めて1人で来た空港に目を見開く。
あ…初めてじゃなかったな。彰弥くんを追うのに必死で覚えてなかったけど、私…この中入ったんだ。
ああ、緊張する。
周りの人達がぞろぞろと中に入っていく中、私はなかなか歩を進められなかった。
大丈夫。
空港の中のカフェかどこかで時間潰していればあっと言う間。
彰弥くんはここから居なくなったけど。
また、ここに帰ってくる。
やっと会えるよ、彰弥くん。
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