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こんなところに私がいるなんて、前川さんからしたら「?」が頭に沢山浮かぶことだろう。
実は付き合ってました、なんて…あまりにも都合が良すぎる。
「…蓮華、思ったより早く来られたんですね」
彰弥くんの言葉に、肩がビクッと揺れた。
こんなに早く来ちゃったんです。しかも時間に余裕があるのに焦って来ちゃったんです。
ごめんなさい。
ギュッと目を瞑り、コクッと小さく頷いた。
前川さんに申し訳ない。
きっと、前川さんも覚悟してここに来たはずなのに、私なんかが邪魔していいはずがない。
「わ、わたし…帰るよ…。た、たまたま近く通って、ちょっと来ただけだから…」
どこをどう行ったら、空港の近くをたまたま通ることになるんだろう。
自分の言葉に軽くツッコミを入れたくなる。
でも、そんなことしてる場合じゃない。
私はベンチから身体を起き上がらせ、手荷物を持った。
「に、二階堂さん!2人でちょっと話さない…?」
前川さんが後ろから声を震わせて、私に言葉をぶつけた。
その言葉を聞いた瞬間、私は固まってしまったけど…。
聞きたくないからって、ここで逃げたら……何も分からないよね。
「うん、いいよ」
意を決した。
どうせ責められるんなら、逃げないで堂々と責められよう。
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