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「…ま、前川さん？大丈夫？」
涙を見た瞬間に私は怯んでしまって、ついつい心配の言葉が口から転げ落ちた。
「……う、ううん」
前川さんの瞳から、涙がボロボロと零れ落ちた。
その涙を見た瞬間、自分の気持ちはどうでもよくなって、前川さんの背中をひたすら撫でている自分がいた。
「………」
上手い言葉が出てこない。
それに、なんで泣いてるかも分からない。
やっと付き合えたという、寄りを戻せたことの喜び。
それとも……振られたという、悲しみ。
私が何かを言ったら、きっと前川さんを傷付けてしまいそうだ。
前川さんから話すのを待とう。
そう心の中で決意したのと同時に、前川さんはゆっくりゆっくり唇を動かした。
「……め…だった…」
「え？」
「……だ、駄目だったの……。……む、昔には戻れな…いって…。ごめんなさい…って………っ、何度も…っ、謝ってくれた……。
あ、あたしのこと……傷付けて…っ、ごめんなさい…って…」
涙をボロボロこぼしながら、可愛い顔を歪ませて前川さんは言った。
そんな前川さんを見てると、私までもが泣きたくなってしまった。
ああ…泣いて謝りたい。
謝らなければならないことが沢山ある。
前川さんが泣いている原因が私だっていうこと。
前川さんの背中を押したくせに、心から応援出来なかったこと。
前川さんが断られて、ホッとしてしまったこと。
私って、何て酷い奴なんだろう。
横で泣いてる彼女を見て、自分の非道さに下唇を噛み締めた。
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